北穂高岳 2013年7月26日〜28日

当初の予定では、北穂の東稜に行くつもりで広沢寺で3回ほど岩トレをしてから出かけましたが、天候が悪く一般ルート
の南陵を登降しました。しかしながら、2900m付近で雨が降り出し、おまけに雷とヒョウが襲ってきたのでさっさと下山し
ました。またの機会にチャレンジをしたいですね。

コースタイム
7/26 上高地8:20〜9:05明神〜10:00徳沢〜11:10横尾〜12:35本谷橋〜15:00涸沢小屋(宿泊)
7/27 涸沢小屋5:20〜6:50北穂沢モレーン上部〜8:30 2900m地点〜10:30涸沢小屋11:30〜13:00本谷橋〜
    14:15横尾(宿泊)


7月26日
梅雨明宣言はとっくに出てはいたもののこの週は「梅雨の戻り」と言うことだった。気象庁のていのいい言い訳で実際は
梅雨明けしてないのでは、、、、。
上高地の曇り空を見上げると、穂高岳の上3分の1は雲に覆われていた。タクシーの運転手さんも、梅雨明け10日という
けれど、今年ほどひどいのはかつて経験したことがないとぼやくほど商売上がったりということなのだろうか。単調な林道
を横尾まで歩くのも、ピッケル、カラビナ、ハーネス、10本歯アイゼン、ヘルメットとフル装備の荷物の重さと、体に合わな
いザックのせいでさらに重く感じられた。これから先はもっと辛くなるはずだから、私が音をあげるとしたらどこのあたりだ
ろうか。ふと林道わきを見るとオミナエシの黄色い花が美しく、またサンカヨウはすでに青い実をつけ、エンレイソウの花
も茶色の実に変わりつつあった。4度目の休憩が待ち遠しかった本谷橋で、涸沢小屋のお兄さんたちが別の橋をかける
為に一生懸命作業していた。小屋からここまで降りて来たのだろうか。
休憩もつかの間、いよいよ本格的な登りとなったが、前を歩くMr.ベリーの尋常ではない汗の噴出し様が調子の悪さを物
語っていた。急にペースが落ちてしまった。体の辛さを語らない人なので余計に気になった。大丈夫だろうか。それでも、
何とか予定時刻より30分遅れただけで涸沢小屋に無事到着。例年と違って小屋の周りはまだ雪渓が一面に残っていて
数少ないテントも雪渓上に設置しなければならないようで、さぞ寒かろう。この日は雨に降られずに済んだ。



おなじみの上高地です。昨日まではかなりの雨が降っていたそうです。


本谷橋、ここまでは何とかへばらずに来たのですが!!


涸沢まであと500m位の所から雪が出てきました。アイゼンを付けるほどではありません。


テント場はまだ雪の上です


この日は何とか前穂も見えていました


前穂北尾根の6峰にあるタヌキ岩。涸沢側から見ると確かにタヌキに見えますね。


涸沢小屋の夕食です。ご飯とみそ汁はお代りが出来ますよ。

7月27日
2日目、天気は曇り。朝から期待できない曇り空。心配しながら、小屋のテラスで出発の準備をしていると、前穂の北尾
根のY峰の尾根にある狸岩が大きなお腹を抱え横を向いて知らんぷり。誰が名づけたのだろう。その名のとうり見たら
思わずニヤっと笑ってしまう。トトロの様でもある。ザイテングラードに向かう人々を左手に見送りながら、昨日とは打っ
て変わってすっかり元気を取り戻したMr.ベリーと私は北穂南稜を登り始める。Mr.ベリーが今年はコバイケソウが当たり
年だと言ってはお花畑に一面に咲くその無垢な白い花を写真に収めていた。花に気をとられているうちは良かったのだ
が、だんだん雲行きが怪しくなる。東稜への分岐にさしかかったところで、最終判断をしなければならない。
行くか止めるか。「登ったら引き返せないよ」の言葉に見上げると東稜のゴジラの背が灰色のガスで見えなくなっていた。
「潔くやめよう」と決定。それから、南稜の一般ルートをせめてものなぐさめで、「北穂の小屋についたらコーヒーを飲んで
ゆっくり下ろう。」という想いで、鎖場と梯子の難所を息を切らしながら登りつめた。しばらくすると、どこからともなくゴロゴ
ロ、ゴロゴロドカーン。大粒の雨は雹に変わり、憧れの北穂高小屋でのコーヒー気分はすっかり失せて「やーめた。」引
き返す。雷雨は2,30分したら止んでしまったが、高校生の団体やカップルも引き返す中、昨日涸沢小屋への分岐から
一緒に登った単独のおじ様が登って来た。人懐こい山梨県南アルプス市からやってきたこの方はこの雨をしばらくやり
過ごしていたらしいが、ちょっとのんびりしている。この先大丈夫だろうか。
涸沢小屋11時半頃に戻った時は少し晴れ間が出ていたが、後悔することはない。早い時間に涸沢小屋に着いたので、
ここでの宿泊予定を横尾山荘に変更することにした。私は一度この涸沢カールから伸びる屏風岩へのパノラマコースを
降りて見たかったのだが、今年は雪が多くて登山道は未整備で落石の危険があるとのことで通行禁止。この提案も却下。
登ってきた道と同じコースで、横尾山荘に着くと、早速ネズミが出迎えてくれた。ベンチに腰掛けている登山者の足元から
かわいいネズミがチョロチョロしている。逃げ出す女性。私もネズミお断りだ。ところがMr.ベリーは物好きでカメラを出して
追いかける。やっとのことでシャッターをきって、小屋のご主人に見せたら、なんと天然記念物のヤマネだと言うことがわ
かった。かわいい顔をしている。ハムスターみたいだ。
横尾山荘は風呂もあり、食事もバンクベッドも快適で、よく眠ることができた。
横尾山荘から上高地の長い林道を肩に食い込むザックのストラップで「ハー痛い」敗退なのだ。それにしても韓国人
の団体登山者がタイツ姿で颯爽とで歩く姿をよく見かけた。良い想い出を持ち帰ってくれればよいのだが。



27日朝出発前の前穂高岳、ちょっと天気が不安定!!


目的の東稜が見えてきましたが、天候が悪いので一般ルートに変更。


南陵の岩場、ここが一番の難所かな(鎖が2段と梯子がかかっています)
この上の2900m地点で天候が悪くなり下山する。


常念岳に傘雲がかかる。悪い天気の前触れだったかも


岩場の下まで下山してホッとしている所。この下から東稜の偵察に行く。


正面の雪渓あたりが東稜の取付きかな。かなりのガレ場です


涸沢小屋前にて、登れなかったけどなぜか笑顔。またの機会にリベンジします


今年はコバイケイソウの当たり年らしい


ヨツバシオガマ


シナノキンバイ


カラマツソウ


キヌガサソウ


横尾で出現した天然記念物のヤマネ

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